ワット・スタットの礼拝堂を囲む回廊には黄金に輝く仏像が幾つも並んでいた。どれもこれも同じ形をしているように見える。大きな福耳をしていて、特徴的な髪型をしているのだ。頭の上の塔のようなものは宝髻というもので、何かを載せている訳ではなく、髪型の一部らしい。そして、これがあるということは、これらの仏像は菩薩であることを意味している。菩薩はボーディ・サットヴァの音写で、悟りを求める衆生を意味するのだという。如来が悟りを開いているのに対して、菩薩はまだ悟りを開いておらず修行中の身であるのだ。
回廊の地べたは石でできているから涼しいようで、男が寝転がって熟睡していた。仏像の前だからといって、姿勢を正そうなんていう意志は微塵も感じられない。お腹を出して豪快に寝ていた。仏像に対して失礼ではないかとも思うのだけれど、それでも仏像は怒ることもなく男を静かに見詰めている。修行中の身でありながら、人びとを救うためにやって来た菩薩の視線は思いの外冷たいように見えたのは気のせいだろうか。
2018年1月 人びと タイ | |
バンコク 仏像 睡眠 寺院 |
No
10419
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年01月20日
更新日
2024年04月03日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA