幼い僧侶が笑いながらこちらの様子を窺っていた

やっとのこと僧院と思しき建物に辿り着いた。ミャンマーでは仏教を信仰している人が多く、仏教が生活に根付いている。日本と違って上座部仏教が主流だから出家する人も多いし、町中で僧侶の姿を見かけるのも珍しくない。出家していなくとも寺院にお参りするのは人びとの生活の一部になっている。ここではどの寺院も広く門戸を開いて参拝客が来るのを待ち構えている。でも僧院はちょっと事情が異なるようだ。僧院は信仰の場ではなく、僧侶が単に生活する場所だからなのだろう。この僧院の門も閉じられていた。

正確に言うと、ちょっと開いているのだけれど、参拝客の姿がひとりも見当らない静けさに包まれた僧院の中にズカズカと足を踏み入れる勇気は僕にはなかった。門の前にじっと佇んでいた。しばらくすると、孔雀の装飾が施された門の向こうに幼い僧侶が現れた。幼い僧侶は僕に気がつくと立ち止まって笑いかけてくれた。

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