しばらく大通りの往来を眺めて、僕はさっきまで歩いていた住宅街の中に戻ることにした。大通り沿いを歩いても様々な人と行き会えるけれど、やはり人がダラダラ時間を過ごしている住宅街を歩いた方がずっと楽しい。
再び住宅街に足を踏み入れると、道路の脇に一台の自転車タクシーが駐められていた。運転手の姿はどこにもない。代わりに幼い子どもが自転車タクシーの上に立っていた。ぶかぶかのシャツを着た子どもは自転車タクシーの座席に立ち上がって真っ直ぐに前方を眺めている。
最初、子どもは自転車タクシーごっこをしているのだと思った。自分が自転車タクシーの運転手になって、男の子が頭の中でヤンゴンを駆け巡っているのだと。でも、そうではないようだ。子どもの視線の先にお母さんと思わる女性が立っている。ピクリとも動かない子どもはお母さんのことをじっと見ているのだった。お母さんはお母さんで、ピクリとも動くことなく自分に注がれる視線を受け止めている。ふたりの親子は、ちょっと離れた場所でお互いを見つめ合って動かないのだった。
2019年7月 ミャンマー 人びと | |
バック・ショット サイクルリクシャー 親子 ヤンゴン |
No
11106
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年07月20日
更新日
2023年11月24日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA