ヤンゴンの小高い丘の上に建つシュエダゴォン・パヤーの境内に逃げ込んだ。ここは釈迦の聖髪や、それ以前に現れた三人の仏陀の遺物などが納められているという、ミャンマー最大級の聖地である。中央にそびえる黄金の仏塔をぐるりと囲むようにして、いくつもの立派なお堂が建ち並んでいるのだ。装飾が施された太い柱のある大きなお堂の中には、巨大な仏像がでんと鎮座しており、熱心な参拝客の姿がちらほらと見える。
その熱心な参拝客の姿がちらほらと見えるお堂だが、ふらっとやって来ただけのよそ者の僕には、それぞれのお堂の違いがさっぱり分からない。道教の廟のように「ここは商売繁盛」「あちらは学業成就」といった具合に、都合よくご利益が分かれているのかもしれない。あるいは、単なる寄進者の見栄の張り合いで次々と増えていっただけなのかもしれない。この国の仏教では生まれた曜日ごとに守護動物や方角が細かく決まっているらしいから、それに合わせて拝む場所が違うのだろうか。いずれにしても、親切な案内板もないので僕には皆目見当がつかないのである。
その皆目見当がつかないまま大きなお堂の陰に入り、ふと足元をよく見てみた。すると、真面目にお参りなどしていない人間が実に多いことに気がつく。巨大な仏像のすぐ真下で、すっかり疲れ切った表情の親と男の子の姿があった。彼らは神聖な仏の前で、ただひたすらに休憩しているだけである。この親子に限らず、周囲を見渡せば、大勢の地元民が祈りを捧げるどころか、ただ涼しい日陰でだらだらと寛いでいるのだ。どうやらこの国の人たちにとって、ここは堅苦しい信仰の場であると同時に、クーラー代わりの気楽な休息所でもあるらしい。
| 2010年8月 ミャンマー 人びと | |
| 仏像 親子 柱 休息 寺院 参拝客 ヤンゴン |
No
4418
撮影年月
2010年3月
投稿日
2010年08月04日
更新日
2026年06月09日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
スナップ写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF24MM F1.4L USM