後楽園といえば日本三名園にも数えられる岡山にある後楽園を思い浮かべるけれど、東京のど真ん中にも後楽園という名を冠した庭園がある。江戸時代初期に造られた小石川後楽園だ。ややこしいのは、この庭園を作ったのが水戸徳川家だということ。自らの領地に後楽園と並んで日本三名園に数えられる偕楽園を作るだけでは飽き足らず、江戸領地に後楽園という庭園を作ってしまった。その結果、評価は違えど同じ後楽園という名前の大名庭園が東京と岡山に存在してしまっている。ややこしい。
このような場合、どちらが先に名乗ったのかが気になるところ。岡山後楽園が後楽園を名乗り始めたのは園内を一般開放することにした1871年以降のことのようらしいから、1600年代に中国から来日した儒学者・朱舜水が名付けたとされる小石川後楽園の方がずっと早い。ではなんで、岡山後楽園は「御後園」または「後園」と呼ばれていた庭園をわざわざ他にすでに存在していた庭園の名前と同じにしてしまったのだろうか。それとも後楽園の語源となっている「先憂後楽(天下の人々が憂えるのに先立って憂い、天下の人の楽しんだ後から楽しむ)」という言葉が、庭園の所有主だったる封建領主にとって琴線に触れる言葉だったのだろうか。たとえ同じ名前の庭園があるのを知っていても、儒教精神に基づく忠国の情を意味する言葉で自らの思想や理念を表現したかったのかもしれない。
2023年6月 建築 東京 | |
庭園 門 後楽 池 反射 石橋 |
No
12506
撮影年月
2023年2月
投稿日
2023年06月11日
更新日
2023年08月07日
撮影場所
後楽 / 東京
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF