ジャカルタで川沿いの路地を歩いているといつの間にか頭上に屋根が現れた。トタンとはいえ、雨風が防げる屋根ができていて路地はなんだかアーケード。椅子やテーブルが出ていて、ここは地元の人たちがゆっくりくつろげるようになっていた。実際、僕がこのアーケードになっている路地にやって来た時も、手前のベンチには帽子をかぶった老人が腰を下ろしていて、その向こうにも椅子の上でふんぞり返った男の姿が見える。屋根を取り付けた人の意図がどうだったのかは分からないけれど、この場所は周辺のコミュニティの一部として機能しているように見えた。
このような場所には僕のような一介の旅行者がふらっと入ってくることもあるし、行商人が自分の商品を携えて売りに来ることもあるだろう。ここに入るのに資格や肩書は問われない。外に向かって閉じられていないのだ。何に使われるのか役割も定まっていないことも、各人が思い思いに役割をこの場所に見い出せるポイントだと思う。好き勝手に使えるこのような場所があるとコミュニティが活気に溢れるような気がする。
翻って考えると、東京の下北沢などを始め、駅の周りにあるごちゃごちゃした路地を整理したがる再開発は地元の活力を奪っているようにしか思えないのだった。
2020年12月 町角 インドネシア | |
路地 ジャカルタ 老人 トタン屋根 |
No
11746
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年12月01日
更新日
2023年08月30日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF