市場の端にやって来ると、ドブ川に小さな木の橋が架かっていた。そして、橋の上には幾つもの洗濯物が干してあった。市場というものは物を売り買いする場所であって、人が生活する場ではない。でも、橋の上の洗濯物を眺めていると、生活臭が漂ってくる。周囲を見渡しても、どこにも住宅らいきものは見当たらない。ドブ川の向こうは市場で、こちら側は広々とした空き地だ。一体誰が洗濯をしたのだろう。ひょっとしたら、市場のどこかで生活している人がいるのかもしれない。
キョロキョロしていると、ビニールシートの隙間に女性の姿が見えた。大きなボウルを前に置いて、中に入っているものの皮を剥いているようだ。ボウルの中に入っているものの量からすると、自分の食事の用意をしているようには見えない。仕事として行っているようだ。橋の上にある洗濯物はこの女性のものではないだろう。見れば見るほど、洗濯物の謎は深まっていくばかりだった。もっとも、それを謎と思っている人は僕だけかもしれないが。
2019年3月 町角 ミャンマー | |
橋 洗濯物 小川 ヤンゴン トタン屋根 |
No
10922
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年03月05日
更新日
2024年01月20日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA