ふたりの人がひとつの傘の下に立っていた。特に雨が降っているわけでもない。どうやら日除けのつもりらしい。フィリピンの陽射しは容赦がない。街を歩いていると、日傘と雨傘の境界など、とうに消えてしまっていることに気づく。ふたりはその傘の下で何か話していた。買い物の相談か、それとも噂話か。どちらにせよ、深刻な雰囲気ではない。
その向こうを、バイクが二人乗りで通り過ぎた。ヘルメットをかぶっていないのは、ここではごく普通のことだ。運転手も後ろの人も、風を切りながらどこか楽しそうに笑っている。ビガンは世界遺産に登録されているとはいえ、観光用のきらびやかさが保たれているのは、ほんの一角にすぎない。少し歩けば、このような生活の匂いに満ちた通りに出る。看板は主張しすぎるほど主張しており、上空には無数の電線が蜘蛛の巣のように絡み合っている。電気の流れよりも人の暮らしのほうが複雑そうだ。
| 2008年12月 町角 フィリピン | |
| 電線 バイク シルエット 通り 傘 ビガン |
No
2293
撮影年月
2008年9月
投稿日
2008年12月10日
更新日
2025年11月11日
撮影場所
ビガン / フィリピン
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM