フィリピン北部の古都、ビガンの道端で、一人の女の子が立っていた。白いワンピースを身にまとい、額にはうっすらと汗がにじんでいる。まだ三歳か四歳くらいだろうか。幼い顔に似合わず、両耳には小さなピアスが光っていた。どうやらこの国では、ピアスの穴を開けるのは特別なことではないらしい。調べてみると、フィリピンでは赤ん坊のうちに耳に穴を開けるのが一般的で、それは宗教的な理由でもファッションでもなく、「女の子の成長の証」として行われる慣習だという。文化とは、どこで線を引くかでその輪郭が決まる。
僕がカメラを向けると、女の子はじっとこちらを見つめた。少し驚いたような顔をしたが、逃げるでもなく、ただ観察している。撮られることへの好奇心と、知らない大人への警戒が混じり合った表情だ。ワンピースの裾が風に揺れ、その中に子ども特有の不器用な立ち姿が見え隠れする。彼女にとって僕など通りすがりの風景の一部でしかないのだろう。
| 2008年12月 人びと フィリピン | |
| イヤリング 花柄 女の子 ワンピース ピアス 疑念 ビガン |
No
2294
撮影年月
2008年9月
投稿日
2008年12月10日
更新日
2025年11月11日
撮影場所
ビガン / フィリピン
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM