壁は一面ガラス張りだった。通りの向こう、幾何学的にそびえるビルが窓越しにぼんやりと映る。窓辺に、二人の女性が立っていた。隣り合っていながら、互いに言葉を交わす気配はない。ただ、それぞれのスマートフォンの画面に視線を注いでいるだけだった。
その光景を眺めていると、不意に奇妙な予感が胸をよぎった。人類は、やがて声を使うこと自体をやめてしまうのではないか、と。もしそうなれば、少なくともデバイスの電源が切れている間は、不要な小言を耳にする心配もない。それはそれで、平穏な世界の兆しと言えるのかもしれない――そんな思いが、じわりと心を満たした。
2017年7月 人びと 東京 | |
二人組 看板 窓 女性 有楽町 |
No
10198
撮影年月
2016年11月
投稿日
2017年07月02日
更新日
2024年11月25日
撮影場所
有楽町 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA