サトウキビを搾ったジュースそのものは、日本でもたまに見かけることがある。けれど、その場でサトウキビを搾ってくれるスタンドとなると、あまり見たことがない。その光景が妙に新鮮で、無造作に積み上げられたサトウキビと一緒に写真を撮っていた。
写真を撮っていると、ふと気配を感じた。顔を上げると、サリーをまとった女性がじっと僕を見ていた。彼女は、少し離れたところから静かにこちらを観察しているようだった。サリーを着た女性という存在は、インドでは数え切れないほどいるのだろうけれど、日本から来た僕にはまだ珍しく映る。
スタンドの写真を撮り終えると、自然な流れでカメラを彼女の方に向けた。彼女は特に驚くこともなく、その場に佇んでいた。レンズを通して見る彼女の姿は、サトウキビスタンドの喧騒の中に、妙に静かな存在感を放っているように思えた。
シャッターを切る瞬間、彼女の目の奥に何か言葉にできない感情が宿っているように感じた。それが何なのか、僕には分からなかったけれど、写真の中でその感覚が少しでも切り取れていればいいと思った。
2024年12月 インド 人びと | |
白髪 ムンバイ サリー 女性 |
No
12735
撮影年月
2024年5月
投稿日
2024年12月17日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF