ガラクタに囲まれた男がガラクタを手にしていた

引き続き住宅街の路地を歩いていた。道端で寛いでいる人の姿はなく、路上は閑散としていた。地元の人は家の中で過ごしているのだろう。そんな場所で例外的に道端で時間を過ごしていたのが写真の男だった。道の端に出した椅子の上に腰掛けていた男は、耳にイヤフォンを付けている。ラジオでも聞いているのだろうか。そして、何やら忙しく手を動かしていたのだった。

上半裸の男の周りにはガラクタが散乱している。もっとも、それらをガラクタと思うのは僕の個人的な見解であって、この男にとっては宝の山なのかもしれない。部品のようなものを手にしていた男は懸命に手にしたものを弄っていたから、ひょっとしたら壊れた部品の修理でもしているのかもしれないと思いつつ、僕は男の前に立ち止まった。チラッと僕に一瞥をくれただけで、男は作業を続けている。なんだかとても忙しそうだった。結局のところ、男が修理をしているのか、何をしているのか僕には分かることはなかった。

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