アニミズムと親和性の高い日本には、古来から妖怪とされてきたものは多い。森羅万象に神の存在を見出す一方で、否定的に把握された存在や現象は妖怪になるという表裏一体の関係なのだという。とはいえ頭が釜で絵馬を手にした鳴釜という妖怪や、唐傘の妖怪であるからかさ小僧など、どの部分を否定的に捉えたのか良く分からない妖怪も多い。当初は畏れられていたのかもしれないけれど、時代の流れとともに娯楽の対象へ移り変わってしまったかのようだ。
同じように何が畏れられていたのか分からない妖怪に提灯お化けがいる。三鷹にある八幡大神社にやってきて、立派な門のところに掲げられている真っ白な提灯を見たときに連想したのはその提灯お化けだった。葛飾北斎や歌川国芳によって浮世絵も描かれたほど人気のあった妖怪も何が畏れられていたのかは分からない。確かに提灯が上下にパックリと割れ、その割れた部分が口となって長い舌が飛び出す姿は異形のもの。でも提灯自体は暗闇で足元を照らしてくれる便利なグッズだ。どちらかというと人を見た目で判断してはいけないという寓話のキャラクターなのではないかと思ってしまうくらいだ。
2022年7月 建築 東京 | |
門 提灯 三鷹 神社 |
No
12321
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年07月09日
更新日
2023年08月12日
撮影場所
三鷹 / 東京
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35