三鷹駅を出て線路を武蔵境に向かって歩いていくと、ボロボロの橋が線路の上に架けられているのに気づく。三鷹電車庫跨線橋だ。電車庫の引込線と中央線を跨ぐようなこの跨線橋が架けられたのは1929年のこと。もう100年近く経過しているので、ボロボロなのも仕方がない。
何も知らない人にとっては単なる古ぼけた跨線橋なのだけれど、鉄道好きにとっては下を伸びる線路の上を普通列車や特急列車が走るのを見られる楽しいスポットだ。跨線橋の中ほどに立っていると、この日も鉄道に興味津々の子どもたちが跨線橋を渡りながら、下を走り抜けていく電車にうつつを抜かしているのを目の当たりにした。またこの跨線橋は太宰治のゆかりのスポットでもある。近くに居を構えていた太宰治は「いい所がある」と言っては弟子を跨線橋へ連れて来ていたという。
ただのボロボロの橋も利用する人の視点によって、いろいろな価値が表層に浮かび上がってくるのは興味深い。新しいから良いとは限らないし、古いからダメとも限らない。残念なのはこの跨線橋は時代の流れに抗えず、老朽化のため近いうちに撤去されるのが決まっていることだ。
2022年7月 建築 東京 | |
男の子 橋 三鷹 傘 |
No
12320
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年07月08日
更新日
2023年08月12日
撮影場所
三鷹 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35