信号待ちをしていた。通りの向こうに開放的な作りの食堂が見えた。窓はおろか、窓を備え付ける外壁さえなく、中の様子が外から丸見えだ。テーブルが置かれていて、奥に厨房も見える。壁にはメニューが書かれていた。台北のありふれた食堂だった。
中華文化圏の食堂の常として、このような質素な食堂にも多くのメニューが用意されている。この食堂の壁にも多くのメニューが漢字で書かれていた。台湾の漢字は繁体字で日本で言うところの旧字に相当するのでちょっと見慣れないものもあるけれど、そのまま同じ意味の漢字も多い。
牛肉と書いてあれば牛肉で、猪であれば豚肉だし(猪八戒の「猪」だと気づけばイノシシ肉ではなく豚肉だと分かる)、粥ならお粥だ。ただし、メニューの食材が何か想像ついても、注文する際に店員に伝えるのは難しい。意味が分かっても、発音できないのだ。指で指し示したくても、壁に貼られたメニューだとそれも難しい。
食堂には若い女性がいて、落ち着いた雰囲気で食事をしていた。その一方で、お店の横では日傘を差した若い女性が僕と同じように信号待ちをしていた。顔に目を向けると、ちょっとしかめっ面をしていた。開放的な食堂の横だから、美味しそうな食事の匂いが漂ってきているに違いない。
2019年11月 人びと 台湾 | |
二人組 レストラン 台北 傘 若い女性 |
No
11291
撮影年月
2019年7月
投稿日
2019年11月22日
更新日
2024年08月22日
撮影場所
台北 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85