台北の街を歩き回っていると、どうにも腹が空いてくる。気温は高くないのに湿気がまとわりつき、散歩だけでカロリーを消費してしまうのだ。そんなとき、赤い看板の小さな食堂を見つけた。のれんには「温州大餛飩」と書かれている。どうやらワンタン麺の専門店らしい。ちょうど昼食には遅く、夕食にはまだ早い時間帯。店内にはお客がまばらで、厨房の奥では店員たちが自分たちの昼食を取っていた。
やがて、注文したワンタン麺が運ばれてきた。スープをひと口すすると、豚骨と干し海老の旨味が混じり合って舌にまとわりつく。まるで台北の空気のように、濃い。麺をすすりながら何気なく視線を上げると、店員の女性たちが昼食を終え、一斉に仕込みを始めた。テーブルの上には赤い桶に山盛りの肉餡が用意され、その周りを囲むようにして彼女たちが座る。バンダナを締めた手が、リズムよくワンタンの皮を折りたたみ、まるで職人の舞のようだ。
| 2016年12月 人びと 台湾 | |
| 食べ物 レストラン 台北 女性 |
No
9982
撮影年月
2016年9月
投稿日
2016年12月24日
更新日
2025年11月20日
撮影場所
台北 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA