メークロンを出発した列車は、残念ながらバンコクまでは走っていない。中間地点のバーンレームの町までしか行かないのだ。そこで、僕はバーンレームの町で列車を下りると桟橋まで歩いて、渡船で川を渡り、マハーチャイの埠頭から歩いてバンコクへ行く列車が出発するマハーチャイ駅まで歩いていたのだった。
渡船が着いたマハーチャイ埠頭の前にはちょっとした広場がある。渡船は地元の人に頻繁に使われているようで、埠頭から降りてくる人は多い。そのため、広場にはそういった人たちを目当てにした屋台が出ていた。
写真に写っている男もその広場の片隅で商売をしていたひとりだ。でも、僕がやって来た時には開店休業の様子だった。何も売ることもなく、男は蒸し器の取り付けられていたバイクを道端に止めて脇にしゃがみこんでいる。理由はわからないけれど、なんだか落ち込んでいるような姿だった。
不思議なことに、うなだれている男はバイクのハンドルを握ったままだった。まるで、いつ何時でもそこから立ち去れるように準備万端なようにも見えた。
No
11457
撮影年月
2019年9月
投稿日
2020年03月24日
撮影場所
マハーチャイ / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III