鹿港天后宮のような道教寺院を訪れるたびに、僕は少しだけ戸惑う。日本の寺に慣れ親しんだ身にとって、この空間はどこか異質で、けれどそれが不思議と心を惹きつけてやまないのだ。回廊には柱が並び、軒下には金色の飾りが揺れている。どこを見渡しても色彩が濃い。その中で人々は香を焚き、願いを込め、祈りを捧げている。
そんな境内の一隅、日差しが斜めに差し込む場所で、ひとりの女性が作業をしていた。大きな袋を前に、黙々と手を動かしている。奉納品だろうか、それとも供え物の準備か。彼女の背後にある扉の古びた木目や、並べられた段ボール箱が、この寺院が今も生きた場所であることを教えてくれる。
道教寺院には何度も足を運んでいるのに、僕はまだ作法をよく理解できていない。どこで手を合わせればいいのか、どの順序で香を立てるべきか、そのたびに立ち止まって考えてしまう。でも、だからこそ面白いのだ。
2025年6月 町角 台湾 | |
鹿港 柱 寺院 |
No
12886
撮影年月
2024年12月
投稿日
2025年06月30日
撮影場所
鹿港 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF