鴨母寮市場の中には、魚屋がいくつも入っている。そのひとつの店先に行くと、身から切り離された魚の頭だけが整然と並べられていた。店頭に並んでいる以上、これも立派な売り物なのだろう。でも、頭だけをどうやって食べるのだろうか。食べられる部分は少ないように見えるし、これまで虱目魚の頭を使った料理に出会ったことがない僕には、具体的な用途が想像できなかった。
この魚たちは虱目魚、サバヒーだ。名前に「目」の文字がある通り、大きな目が特徴の魚である。生きている時は愛嬌のある顔つきなのかもしれない。でも、すでにさばかれた後のその瞳は、どこか不気味さを感じさせる。いくつもの頭が並び、その瞳が虚空をじっと見つめている光景は、思わず目をそらしたくなるようなシュールなものだった。
それでも、この地では虱目魚が日常の食材として愛されているのだろう。この頭たちも、きっと地元の人々の手で美味しく調理され、新たな命を吹き込まれるに違いない。
2017年4月 食べ物 台湾 | |
瞳 魚 魚売り 市場 台南 |
No
10097
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年04月05日
更新日
2024年12月25日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
食物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA