台湾を代表する港湾である高雄港は現役であるものの、その一部は港湾の無骨なイメージからは想像の難しい彩りを見せている。旧倉庫街をリノベーションして、芸術家や学生に提供する創作発表の場になっていて、高雄観光の一大拠点に変貌しているのだ。写真もその駁二芸術特区に置かれていたアート作品だ。ふたりの人形が旧倉庫の軒に座って何もしないでくつろいでいる。その名も「ここに座って、何もしない」。何もしないと宣言しつつ、赤い帽子をかぶったJuan Juan Baoは楽しんでいる様子。ほっこりする味わいだ。
ふたりが腰を下ろしている倉庫の壁には大きく台糖と書かれていた。日本人からすると日本統治時代に台湾で設立された台湾製糖のことではないかと思ってしまいがちだけれど、時代からするとその後継企業で戦後に設立された台湾糖業のことだろう。今でこそ台湾というとTSMC、FOXCONN、ASUSやBenQなどの精密機械の会社を思い浮かべるものの、かつては製糖が台湾の重要な産業で台湾糖業は台湾最大の企業だった。製糖業は衰退してしまったものの、台湾糖業は多角的経営に成功し、観光産業、花の栽培、バイオテクノロジーや小売業を営んでいるという。現在でも台湾の最大の地主で、台湾各地に土地を所有しているのだそうだ。
2024年9月 静物 台湾 | |
作品 ブーツ 高雄 倉庫 |
No
12643
撮影年月
2024年3月
投稿日
2024年09月06日
撮影場所
高雄 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF