しばらく進むと、路地は完全に住宅街へと変貌していた。道幅はさらに狭まり、両脇には住居がぎっしりと並ぶ。管理されているのか、それとも放置されているのか分からない電線が頭上で複雑に絡み合い、まるで蜘蛛の巣のように空を覆っている。その下には、軒先に吊るされた洗濯物がゆらゆらと揺れていた。
ここは間違いなく、ムンバイの庶民の生活圏だった。商店も観光客もいない。ただ、人々が日常を過ごす場所。
ふと視線を巡らせると、洗濯物のすぐ隣で男が腰を下ろし、スマホを眺めていた。急ぐでもなく、焦るでもなく、ただのんびりと画面を見つめている。その姿は、この場所が持つ穏やかな時間の流れを象徴しているようだった。
それにしても、洗濯物はもう少し広げて干さないと、なかなか乾かないのではないだろうか――そんな余計な心配をしながら、僕はさらに奥へと歩みを進めた。
2025年3月 インド 人びと | |
電線 洗濯物 ムンバイ リラックス スボン |
No
12844
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年03月20日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF