横断歩道で信号待ちをしていると、1台のバイクが静かに停まった。男の子とお母さんが乗っているバイクだった。男の子はお母さんの腰に小さな手を回し、後ろにちょこんと座っている。その様子は、ほとんどの男の子にとって、お母さんのすぐ後ろが一番安心できる場所なのだということを示しているようだった。
水玉模様のスカートをはいたお母さんは、信号をじっと見つめている。その真剣な横顔は、まるで他のものに注意を向ける余裕などないかのようだった。一方、男の子はふと僕の存在に気づいたらしい。横目でこちらをちらりと見ている。その目つきは、どこか胡散臭いものを見るような、警戒心を帯びたものだった。
そんな視線を受けながら、僕はじっとその場に立っていた。やがて信号が青に変わると、お母さんはアクセルを軽く回し、バイクは滑るように走り出した。男の子の訝しげな表情だけが、僕の中に小さな余韻を残しながら、二人はあっという間に通り過ぎていった。
2017年4月 人びと 台湾 | |
ヘルメット バイク 親子 水玉 台南 |
No
10125
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年04月30日
更新日
2024年12月10日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA