台湾の台南で撮影。
日はとっくに沈んでいた。まだ営業を続けているお店は灯りを点けている。そんな中、薄暗くなった歩道を歩いていた。しばらくすると、昔ながらの玩具屋の前へとやって来たのだった。箱に入った玩具が店頭に幾つも並べられている。でも、玩具を欲しくて堪らなくなっている子どもの姿はどこにもない。日が暮れてしまっているから、そのような子どもはもう家に帰ってしまったのかもしれない。その代わりに、大きな犬が入り口に寝そべっていた。
犬はじっとしていて動かない。物臭なのだろうか。目だけを動かして周囲の様子を窺っているようだ。そして、上目遣いで僕のことを見始める。暫しの間、僕と犬はお互いを見つめ合った。そうしていると、お店に入らないの?と訊かれているような気がしてきたから不思議だ。