ハヤム・ウルクという、かつての王様の名前を冠したジャカルタにある大きな通りを南下していた。歩道は南国でよく見られるような建物の中に食い込んでいるタイプだった。日差しをしっかりと遮ってくれる歩道は、露天商にも格好の商売場所になっていた。
通りかかった場所は、ちょうどそのような場所だった。日陰の路面に商品を並べて、何人もの人がお店を開いていた。理由はわからないけれど、この辺りにお店を開いているのは画家と古物商ばかりだった。写真の人は後者で、路面に古いコインやお札を並べて売っていた。
買うつもりはないままに並べられているものを見てみると、オランダ統治時代のお札やコインに混じって、かつての日本軍が旧オランダ領東インドで発行した軍票が並んでいたりして面白い。
1800年にポルトガル領東ティモールを除く東インド諸島の全てがオランダ領東インドとなり、ほぼ現在のインドネシアの領域全体がオランダ本国政府の直接統治下に入って以来、インドネシアは一貫してオランダの植民地だったのだが、第二次世界大戦末期の1942年から1945年までは日本が統治していた時代もある。そして、その時代に日本軍が軍票を発行していたのだ。
その軍票が戦後どのような経緯を経たのかは分からない。でも、結構な量の軍票が発行されたのだろう。戦争から80年近くたった今でも、町角の古銭商の店先に並べられるくらいの量が出回っているのだ。
2020年5月 インドネシア 人びと | |
ジャカルタ 男性 お金 歩道 露天商 |
No
11536
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年05月22日
更新日
2023年09月04日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF