サリーを着て地べたに座り、古い天秤の横で多種多様な野菜を売る女性

野菜を売る女
市場で野菜を売る女性

インドのうだるように暑い日差しを避けて、マルダの埃っぽい市場の片隅を歩いていた。ふと足元に目をやると、柄物のサリーを纏った女性が地べたにぺたりと腰を下ろしている。彼女の目の前には、敷かれたボロ布の上に様々な野菜が無造作に並べられていた。ざっと見渡しただけでも、黄色いカボチャがあれば、キュウリもオクラも、緑色の唐辛子のようなものも見える。どうやらこの雑然とした露天市で、彼女は自分のスペースをちゃっかりと確保して、野菜を販売しているのだ。

その販売している野菜は、一体どこからやって来たのだろうか。女性が自分の家の裏庭で細々と栽培したものなのか、それともどこかの卸売りからまとめて仕入れたものなのかはよく分からない。ただ、これだけ種類が豊富に揃っているところを見ると、おそらくはあちこちの農家から仕入れて並べている商魂たくましい小売商なのだと思う。彼女の傍らには、重さを量るためのひどく使い込まれた天秤と無骨な鉄の分銅が、無造作に転がっていた。

その無造作に転がっている天秤の持ち主である女性の顔を、じっと観察してみる。インドでは女性が民族衣装のサリーを着て出歩くのはごく当たり前の風景だ。しかし、この女性はサリーを纏うだけでなく、頭頂部の髪の分け目に赤い粉でスッと直線を引いていた。これはシンドゥールと呼ばれるもので、ヒンドゥー教徒の女性が既婚であることを示す伝統的な印らしい。言ってみれば、昔の日本における「お歯黒」のようなものだ。一目で他人に婚姻状態を知らせるシステムは親切で合理的だが、なんだかひどく窮屈そうでもあった。

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ENGLISH
2012年7月 インド 人びと
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PHOTO DATA

No

6584

撮影年月

2011年7月

投稿日

2012年07月03日

更新日

2026年05月24日

撮影場所

マルダ / インド

ジャンル

ポートレイト写真

カメラ

OLYMPUS PEN E-P2

レンズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42MM

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