タイ国民の大多数は仏教徒だけれど、全員が仏教徒である訳ではない。約5%の人たちは仏教以外の宗教、例えばキリスト教やイスラム教やヒンドゥー教や道教やシク教を信仰している。日本と比べたらずっと宗教的な多様性のある国なのだ。そうは言っても、バンコクの町を歩いていて仏教以外の宗教の匂いを感じることはそれほど多くはない。せいぜい仏教とセットになっているヒンドゥー教の影響を目にするくらいだ。少なくともバンコクでは仏教徒が圧倒的多数を占めている。
そのような状況の中で、町を歩いているとイスラム教徒のコミュニティを見つけた。裏通りの一角にモスクが建っていて、その横にイスラム教徒の墓地がある。珍しいなと思いながら墓地の脇の道を歩いていると視線を感じる。墓地の中にいる男たちが僕のことをじっと見ていたのだった。向こうは向こうで外国人がこの場所を歩いているのを珍しいと思ったのかもしれない。視線が合うと男たちは声を掛けてくた。僕はその声に従って、墓地の中に入っていった。
ひとりの男は穴の中に立っている。手にはシャベルを持っている。墓穴を掘っているのだった。イスラム教徒は土葬するの一般的だ。日本では儒教や道教の影響を受けてしまい、仏教徒でもお墓を持つけれど、本来仏教徒はお墓を造らない。だから、上座部仏教徒が多いタイで墓地を目にするのは珍しい。穴の周りには墓標が幾つも見える。中東辺りのお墓と比べると、顔写真もなくとてもシンプルなものだ。僕が近づいていくと、男が掘る手を止めて、僕を見てくれた。
2018年8月 人びと タイ | |
バンコク 墓地 穴 男性 上半身裸 墓 |
No
10687
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年08月11日
更新日
2024年10月05日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA