広大な人工の森に囲まれた明治神宮の境内へとやって来た。僕はあてもなく広い敷地をウロウロと歩き回り、社殿の脇にある立派な木製の格子柵の前にたどり着いた。その規則正しく並んだ木の格子の隙間から向こう側を泥棒のようにこっそりと覗き込んでみると、薄暗い回廊をこちらに気づく様子もなく静かに歩いている神職の姿が目に飛び込んできた。
その薄暗い回廊を静かに歩いている神職は、頭に黒い烏帽子をかぶり、白い装束に身を包んで移動していた。神社で見かける彼らの衣装は一見どれも同じように見えるが、実は身につけている袴の色や紋様によって、その人の明確な階級や位が分かる仕組みになっている。最高位の特級ともなれば、白い袴に白い紋が入り、その下の高級になると紫色の袴に段階的な紋が施されるらしい。一般的に神社で見かける緑色や浅葱色の袴は、比較的若い中級や初級の職位だそうだ。衣服の色で役職の上下を厳格に区別するというのは、聖徳太子の冠位十二階の時代から続く日本人の変わらぬ役人根性の現れかもしれないなどと、僕は一人で合点がいった。
そう思いながら柵の向こうに目を向けるものの、手前にある太い木格子の存在感が強すぎる上に、奥の回廊がひどく薄暗くて、彼が一体何色の袴を穿いているのか、はたまた特級の偉いお方なのか新米の若者なのかが、さっぱり判別できなかった。
| 2009年2月 町角 東京 | |
| 塀 人影 明治神宮 神職 神社 |
No
2541
撮影年月
2008年11月
投稿日
2009年02月26日
更新日
2026年06月18日
撮影場所
明治神宮 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM