ひと気のない明治神宮の鎮守の森の木陰で、人影がくつろいでいた

明治神宮の鎮守の森
明治神宮の鎮守の森

明治神宮へお参りに行くとなると、大抵の人は原宿駅で電車を降りる。そして、賑やかな南参道から大鳥居を経て本殿へ向かうお決まりのルートを思い浮かべる。しかし、この道はいつ来てもおびただしい数の人間でごった返している。歩いているだけで、他人の放つ気にあてられて草臥れてしまうのだ。もっと人が少なくて静かな気分のまま歩きたいと思う偏屈な僕のような人間には、小田急線の参宮橋駅から向かう裏ルートがおすすめである。

その参宮橋駅からひっそりと境内へ入るルートを選ぶと、原宿側の騒がしさが嘘のように消え失せる。西参道をただ真っ直ぐ進むのも芸がない。武道場の至誠館がある方へと少し寄り道をして、迂回して行くのが面白い。このあたりは歩く人もまばらである。都会の真ん中とは思えない深い鎮守の森の風情を堪能できる。実のところ、この広大な森は最初からそこにあった原生林ではない。大正時代の造営時に全国から献木された約10万本を、当時の造園学者たちが150年後の自然の姿を計算し尽くして植えた完全なる人工林である。人間の知恵で化かされた見事な自然のなかを、僕は一人で得意げにトボトボと歩いていく。

その人間の知恵で化かされた深い木々の奥を抜けると、不意に視界が開けた。至誠館から本殿へと向かう途中で、まるで普通の公園のような明るい場所に出たのである。目の前には手入れの行き届いた青々とした芝生が広がっている。その向こうには立派な枝ぶりの木々が気持ちよさそうに連なっていた。よくよく眺めてみれば、鬱蒼とした神聖な雰囲気は薄い。神宮の森というよりはただののどかな原っぱのようだ。よく茂った木陰の下には、芝生に腰を下ろして何をするでもなく寛いでいる先客の人影が見える。空の高い昼下がり、このような場所で寝転がってのんびり過ごせば、日頃の不摂生で枯れ果てためったなことでは養われない英気も、知らず知らずのうちに体の中へと滑り込んでくるかもしれない。

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ENGLISH
2022年11月 町角 東京
人影 芝生 明治神宮 リラックス 神社

PHOTO DATA

No

12401

撮影年月

2022年7月

投稿日

2022年11月22日

更新日

2026年06月13日

撮影場所

明治神宮 / 東京

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

ZEISS BATIS 1.8/85

日本国内で撮影した写真

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