水をかけられながら法螺貝を吹くのは大変そうだった

水止舞で水をかけられる若者
水をかけられる若者
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奇祭というと、どこか人里離れた山奥でひっそりと催されているようなイメージを持ってしまうけれども意外や意外。東京の住宅密集地に建つお寺でも催されていた。600年以上も続いているというから、近年になって町おこしのために始められたお祭りなんかとは格が違う、由緒正しい奇祭が都内で催されているのだ。

その奇祭は大森にある厳正寺で催されている水止舞という。その名が示すとおり、が止むのを願うお祭りだ。雨乞いをするお祭りは日本全国に数多あれど、雨が止むのを祈祷するのは珍しい。なんでも周辺が干魃に見舞われた際に厳正寺の住職が雨乞いをしたところ、今度は雨が降りすぎてしまい水害が起こってしまったという。水害の原因を雨乞いと考えた地域の人びとが、雨が止むように祈祷したのが水止舞の始まりなのだそうだ。

祭りの内容も変わっているけれど、水止舞はその様子も変わっている。荒縄の巻物の中に水の神である「龍神」に扮した若者が入り法螺貝を吹き、人びとが容赦なく若者に水をかけるのだ。しばらくすると若者は巻物ごと担ぎ上げられ、数メートル移動すると地面に下ろされ、再び水をかけられる。これを繰り返しながら舞台の設けられた厳正寺へ向かって進んでいくのだ。水を龍神にかけるのは、もう水は十分という意味なのかどうかはわからないけれど、水をかける人は楽しそうな一方でかけられる人は思いの外大変そうだった。

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ENGLISH
2022年11月 人びと 東京
お祭り 大森 濡れた 青年

PHOTO DATA

No

12390

撮影年月

2022年7月

投稿日

2022年11月01日

更新日

2023年08月10日

撮影場所

大森 / 東京

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

ZEISS BATIS 1.8/85

日本国内で撮影した写真とエッセイ

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