等々力渓谷を流れる谷沢川の河畔は整備されていて遊歩道になっている

東京にはコンクリート・ジャングルしかないと思っている人は意外と感じるだろうけれど、23区内にも渓谷がある。エコブームで造られたような人工的な渓谷ではなく、自然にできた渓谷があるのだ。それが東急大井町線の等々力駅からほど近くにある等々力渓谷だ。

等々力渓谷は武蔵野台地を大量の湧水が浸食してできたもので、等々力駅から近い谷沢川の川岸が遊歩道に整備されている。住宅街にある渓谷と聞くと子供だましと思うかもしれないけれど、侮ってはいけない。等々力駅近くでは、住宅街から20mないし30m近くも切れ込んだ深い谷が広がっていて、住宅街にいるとは思えない。別世界にいるような感覚を味わえる場所だ。

残念なことに等々力渓谷はあまり広くはない。都会にある自然なのだから仕方がないけれど、鬱蒼とした木々に包まれた気分に浸ったのも束の間、端から端まであっという間に歩き終え、すぐに長い階段を登って現実世界に戻ることになる。でも、この時に感じる「自然の中から現実世界に戻っていく感覚」を味わえるのも等々力渓谷の醍醐味だと思うのだ。

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