大通りの歩道を歩いていた。あまり地元の人は歩いていない。歩き回るのにはちょっと暑すぎる。地元の人は用がない限りは意味もなく出歩かないのだ。車道を多くの自動車が走り抜けていく。孤独に道を歩いていると、珍しく向こうから人が歩いてくるのが見えた。年配の女性だった。女性はどんどんと近付いてくる。そして、僕の前までやって来ると立ち止まった。女性は箒を売り歩いている行商人だった。道理でこんな人気のない道を歩いている訳だ。
女性の箒売りは手で箒を抱えている。背中を見ると、そこにも箒がぶら下がっている。女性は天秤棒を使う要領で箒を担いでいるのだった。つまらなそうな表情を浮かべている。箒の売上はあまり芳しくないのかもしれない。そして、つまらなそうな顔のままで僕に箒を薦めてきたのだった。残念ながら、僕にとって箒は喫緊に必要なものではない。そもそも僕はいま旅行中だ。僕の言わんとしていることを理解してくれた女性は、何事も無かったかのように僕の前から歩き去っていった。
2018年5月 人びと タイ | |
バンコク 箒 行商人 |
No
10585
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年05月31日
更新日
2024年02月13日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA