ムンバイの象徴的な建造物であるインド門からフェリーで約1時間、ムンバイ湾に浮かぶエレファンタ島には、世界遺産に登録された壮大な石窟群がある。本来はヒンドゥー教のシヴァ神を祀る神聖な寺院として築かれたものの、現在ではすっかり観光地化しており、ここで真剣に祈る人の姿はほとんど見られない。
神聖な場であれば必ず供え物が見られるインドの文化においても、この石窟群ではそうした光景がまったくない。町中の寺院でよく目にするマリーゴールドの花輪はもちろんのこと、花一輪さえも供えられていない。その静寂は、まるでこの場所が過去の遺産としてのみ存在しているかのようだ。もはや宗教施設というより、巨大なテーマパークの遺跡といった印象を受ける。
薄暗い石窟の内部では、観光客がスマホを片手に彫刻を撮影し、子どもたちは無邪気に駆け回っている。写真のサングラスをかけた男の子も、そのひとりだった。彼は石窟を出たり入ったりしながら遊び続けていた。その姿は、この世界遺産が歴史の重みとともに、現代の観光スポットとしての役割を担っていることを象徴しているかのようだった。
2025年3月 インド 人びと | |
男の子 帽子 ムンバイ 遺跡 サングラス 世界遺産 |
No
12828
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年03月08日
更新日
2025年03月09日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF