山道を思わせる小径にさりげなく建っている沖永良部島から移築した高倉を横目に、さらに小径を登っていくと広瀬住宅という古民家に辿り着く。ここは川崎にある日本民家園。広瀬住宅は17世紀に山梨県甲州市に建てられた農家を移築したものだ。
坂道の踊り場のような場所に建てられている広瀬住宅は、ずんぐりした外観と相まってちょっとした砦のよう。もっとも土塁も堀もないから橋頭堡だろうか。いずれにしても、日本の伝統的な家屋は開放的な作りになっていることが多いのだけれど、この広瀬住宅からそのような開放的な雰囲気は感じられない。
外から家の中の様子は窺えない。閉鎖的な趣だ。人が出入りできるようになっているのは家の正面だけで、それ以外の三方には少しばかりの下地窓があるだけ。その唯一の出入り口のあるところも軒先は普通の人でも頭がつかえるほど低い。来訪者を歓迎するような雰囲気は微塵もないのだ。
採光のほとんどない家の中も、薄暗く閉鎖的なのだろう。中を見学していた幼い男の子は、中から出てくるや否や陰鬱から開放されたかのように力強くジャンプしていた。
2021年10月 神奈川 人びと | |
男の子 ジャンプ 川崎 博物館・美術館 屋根 |
No
12071
撮影年月
2021年4月
投稿日
2021年10月26日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
川崎 / 神奈川
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF