ふたりの女性が閑散とした市場の中で鍋をつついていた

市場は静けさに包まれていて、ところどころに働いている人の姿が垣間見える。人気のあまりなく薄暗い市場の中をひとりでトボトボ歩くのは、それほど楽しいものではない。そこで、働いている人を見かけたら、すぐさま近づいていくことにしていた。そうこうしているうちに、写真の女性たちに行き会ったのだった。ふたりの目の前には大きな鍋が置かれていて、ふたりは鍋をつついている。ここは食堂ではないから、仕事を終えた後の賄い飯なのだろう。いずれにしても、熱々の鍋は美味しそうだ。

鍋の中には色々なものが入っている。豚肉も入っていれば、野菜も入っていて、日本でいうところの寄せ鍋みたいなもののようだった。日本にも数多の鍋料理があるけれど、ほとんどの人は冬に食べるものだと思っているだろう。寒い中で暖を取るために食べるようなものだ。でも、ここ南国の国タイではちょっと事情が違うようだ。市場の中にはエアコンなんて代物はない。ふたりの女性は蒸し暑い市場の一画で鍋をつついているのだった。

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