週末の駅前は賑わっていた。多くの家族連れが歩いている。道路沿いにはビルが建ち並んでいて、人びとが行き来している歩道のほとんどが日陰になっていた。日陰の中を歩いていると、一箇所だけビルとビルの間から日差しが差し込んでいる場所を見つけた。その場所だけが日溜まりになっていて、スポットライトが当たっているかのようだ。見ていると、歩行者がスポットライトの中に現れては消えていく。ちょっとおもしろく思った僕は、立ち止まって眺めていた。
しばらくすると、一台のベビーカーがスポットライトの中に出現した。幼い子どもが乗っているベビーカーだ。ベビーカーが日溜まりの中に入ると、子どもはそれを合図にしたかのように鼻をかんだ。スポットライトの当たる舞台でこの子どもに与えられた役割は鼻をかむことだったようだ。あっという間に役割を終えたベビーカーと子どもは瞬く間に日陰へ消えていき、スポットライトの中には次の主人公が登場していた。
2019年9月 町角 東京 | |
ベビーカー 日暮里 日溜り |
No
11202
撮影年月
2019年3月
投稿日
2019年09月20日
更新日
2023年10月27日
撮影場所
日暮里 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA