橋の上の比丘尼

橋の上の比丘尼

三人の比丘尼が小さな橋を渡っていた

タイのバンコクにあるポーンプラープ区で撮影。

運河沿いの道を歩いてフアランポーン駅へと向かっていた。別にバンコクを後にして、他の町に移動する訳ではない。フアランポーン駅から地下鉄に乗ろうと思っていたのだった。歩いている道は広く、多くの車が行き来している。その割には歩いている人は少なく、歩いていてもあまり面白くない。そこで僕は細い運河を渡って、向こう側へ渡ることにしたのだった。運河に架かる小さな橋にやって来ると、三人の比丘尼の姿が見えた。ひとりは傘を差して歩いている。

タイにはイスラム教徒もいるけれど、大多数の国民は仏教徒だ。日本と違って上座部仏教が主流であるこの国では一時的でも出家をする人は多い。そうすることによって、本人はもちろんのこと、家族も徳を積めると信じられているからだ。でも、これは男性に限った話で女性は正式に出家することを認められていないのだという。この時代には信じられないくらいの女性差別だ。そのため橋を歩いている三人の女性も正確には比丘尼ではない。正式な出家が認められなくとも、自発的に仏教修行に励む女性信者たちのことはメーチーと呼ぶ。三人の女性はメーチーだった。

EN
SHARE ON SNS 😃
Trivial Moments by Tetsu Ozawa
写真集を販売中
TRIVIAL MOMENTSという写真集をAMAZON KINDLE STOREで絶賛販売中です

モノクロの写真を108枚掲載。もちろんKINDLE UNLIMITEDでも読めます。

Amazon.co.jpで詳細を見る

ポーンプラープ区ってどこ?

女性の出家

バンコックの町を歩いていると剃髪した比丘尼のような仏教徒の姿を見かけることもある。このような人たちはメーチーと呼ばれ、厳密な意味では出家している訳ではないので比丘尼ではないのだ。一般的には出家者としての生活に入ろうとする者は授戒する資格を認定された僧侶から具足戒を受けて、初めて比丘や比丘尼になれることができる。メーチーと呼ばれる女性たちは一定の戒律を守ってはいるものの、この具足戒を受けていないのだ。

上座部仏教の歴史において、当初は授戒する資格を持つ比丘尼もいたようだが、その後の歴史の中でその比丘尼がいなくなってしまった。つまり具足戒を女性に与えることのできる僧侶がいつの間にか世の中に存在しなくなってしまったのだ。そのことが上座部仏教において女性が出家できないとされる理由らしい。

出家できないと一般的な僧侶が纏っている黄衣をまとうことはできない。そのため、写真のメーチーたちも男性の僧侶とは違って、黄衣ではなく真っ白なものを纏っているのだ。

PHOTO DATA

No

10526

撮影年月

2017年9月

投稿日

2018年04月19日

撮影場所

バンコク / タイ

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA

アーカイブ