露天商が馴染みの客と談笑していた

通りの両端は露店商が開いたお店で埋め尽くされていて、買い物客はその間を縫うように闊歩していた。この道は露天市になっているのだった。大層賑わっている。大勢の地元の人たちがこの場所に日々の生鮮食品を買い求めに来ているようだ。働いている人の顔ぶれはそうそう変わらないだろうし、買いに来る人もそうそう変わらないだろうから、毎日のように通っていたら顔なじみのお店もできるに違いない。そのような市場の中を人混みを掻き分けながら歩いていると、背後の方から大きな笑い声が聞こえてきたのだった。

大きな笑い声に僕は振り返った。行商人が一列に並んで商売をしていて、どの人の前にも売り物を入れたトレイが置かれている。一番手前の人のトレイの中にはザクロが山盛りになっていた。その大きな笑い声の主はザクロの向こう側にどっしりと腰掛けていた。楽しそうに客のひとりと談笑している女性が笑い声の発生源だった。この客は女性の馴染みの客なのだろう。

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