住宅街に囲まれた境内には雅楽が響き渡っていた。楽人装束に身を包んで笙と篳篥を演奏していた男たちが僕の前をゆっくりと拝殿へと向かっていく。呆気にとられてその姿を眺めていると、次に現れたのは紋付袴姿の新郎と白無垢姿の新婦だった。巫女に先導された新郎新婦は楽人と同じように参道の門をくぐり抜けて拝殿へと進んでいく。神前結婚式が行われていたので、生演奏の雅楽が境内に響き渡っていたのだった。二人の背後には若い神職がついていて、大きな赤い番傘を差している。傘の下で新郎も新婦も神妙な面持ちをしていた。新婦は角隠しを纏っている。
境内は厳かな雰囲気に包まれていた。ここには都会の喧騒も届かない。聞こえてくるのは笙と篳篥の音色だけだった。これから結婚式を挙げる集団は、慌てることなく、一歩一歩享保年間に建立されたという社殿へと向かっていく。そして、社殿の中へと消えていった。
2018年9月 人びと 東京 | |
赤坂 花嫁 新郎 神社 傘 結婚式 |
No
10738
撮影年月
2017年10月
投稿日
2018年09月20日
更新日
2024年01月29日
撮影場所
赤坂 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA