代々木公園の入口近く、原宿駅のほうから歩いていくと、革ジャン姿の男たちが円を描くように集まっていた。髪はどれも見事なリーゼントで、まるで昭和の空気がそのまま保存されているような一角だ。その中で、ひとりの男が輪から離れ、もうひとりと向かい合っている。ふたりとも無言のまま膝をつき、互いをじっと見据えている。まるで儀式の始まりを待つような緊張感が漂っていた。
片方の男は上半身裸で、背中には大きな龍の刺青があった。うねる鱗と鋭い眼光が皮膚の上で息づいているようで、思わず見入ってしまう。刺青は古くから日本では忌避される風潮があるが、もともとは漁師や職人の間で魔除けや信仰のしるしとして発達したものだという。龍はその中でも最も人気のある図柄で、力と再生の象徴とされてきた。なるほど、背中に龍を背負えば、たとえ時代遅れのロカビリーでも、どこか神々しく見えてくる。
| 2008年8月 人びと 東京 | |
| 背中 龍 刺青 代々木公園 |
No
1935
撮影年月
2008年5月
投稿日
2008年08月25日
更新日
2025年10月24日
撮影場所
原宿 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM