大通りを歩いていると、どこからともなくハンマーで金属を叩く音が聞こえてきた。そして、ほどなくして鍛冶場が視界に入ってきた。一角には小さな炉が設けられていて、ふいごも置かれている。その近くで三人の男たちが働いている。一番年嵩の男は炉の前に置かれたふいごの前にどっしりと腰を下ろしていた。見たところ、この人が親方のようだ。他の二人は台を挟んで向かい合っていて、手には大きなハンマーを持っていた。そして、ロンジーを穿いた二人は交互に熱々に熱せられた鉄を叩いていた。規則正しく叩いている姿には人を引きつける力がある。
言うまでもなく鉄は熱いうちに叩いて整形しなければならないので、ハンマーを手にしたふたりには僕の方を垣間見るような余裕はなかった。ふたりは僕を一瞥することなく黙々と叩いている。何を作っている最中なのかは分からなかった。何を作っているにせよ、規則正しく振り下ろされるハンマーの音は心地よく周囲に響き渡っていた。
No
11041
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年06月06日
撮影場所
タニン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA