渋谷駅の周辺はいつも混雑している。大勢の人が歩道を闊歩していて、信号待ちをしている人も多い。僕が信号待ちをしている交差点もやはり混んでいた。大勢の人が信号が変わるのを待っている。
渋谷は東京の随一の繁華街のひとつだ。今となっては、ここが住宅街だったとは信じがたいだろう。もちろん、僕もそのような時代は知らない。歴史として知っているだけだ。その時の名残は忠犬ハチ公の銅像くらいなものだろう。ハチ公は主人が渋谷駅で電車を降りて家に帰ってくるのを改札前で待っていた。いくら飼い主が東京帝国大学の教授とはいえ、そんなにお金持ちだったわけではないだろう。渋谷には一般の人々が住む家々が建ち並んでいたのだ。時は流れて、ハチ公は銅像になり、渋谷駅前の広場には常に大勢の人がいて賑わっている。ほとんどが渋谷に帰ってきた人ではなく、遊びに来た人だ。
信号が青に変わると、信号が変わるのを今か今かと待っていた人びとが一斉に道路を横断し始めた。
No
11314
撮影年月
2019年8月
投稿日
2019年12月09日
撮影場所
渋谷 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III