ジャカルタにあるグロドック地区の路地を歩いていると、壁際に帽子をかぶった年配の男が腰を下ろしていた。東南アジアの町を歩いていると、意味もなく道端に腰を下ろしている人が多いので、この人もその類いかと思いきやそうではなかった。男は膝の上に載せたサンダルに黙々と針を通していた。男は道端で働く靴の修理屋だったのだった。
僕が目の前に足を止めたのが視界に入ったのだろう。男はしばし手を止めて、ちらっと顔を上げた。でも、特に面白いものがある訳でもないので、すぐに仕事に戻っていった。どこの誰とも分からない外国人の相手をするよりも、目の前にある仕事の方が大切なのはよく分かる。
このような壊れたサンダルを修理して再び履く習慣が残っているというのは、単にインドネシアの人が物を大切に扱うという清く正しい話では終わらない。新しいものを購入した方が、人が修理作業をするよりもずっと高く付くことを示している。つまり、人間の賃金が低いからそのような商売を行う余地があるのだ。インドネシアの2017年における1人当たり名目GDPは3,876米ドルで世界115位だ。確かにお世辞にも高いとは言えない金額だった。
2020年6月 インドネシア 人びと | |
帽子 眼鏡 ジャカルタ 修理屋 サンダル 履物 |
No
11554
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年06月05日
更新日
2023年09月04日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF