オークポースー駅近くにある集落の中に建っているのは高床式の住居ばかりではなかった。家畜小屋も建っている。集落の中を歩いていると、僕はいつの間にか豚小屋の前へとやって来ていた。
静かにのんびりと過ごしていると住民とは対照的に豚たちは騒々しい。豚小屋に近づくと、小屋の中にいた豚たちは一斉に柵のところに集まってきてブヒブヒと鳴き始める。その反応の良さは、僕に無関心である村人とは大違いだ。この集落の住人よりも豚の方が好奇心旺盛なのではないかと思うくらいだ。もっとも僕のことを餌をくれる人間と勘違いしただけかもしれないけれど。それはそれで問題だろう。日々餌をくれる人の姿を憶えていないなんて、生き死に関わってしまうのではなかろうか。
一匹の豚は柵の向こう側に止まって、隙間から鼻を突き出しながらじっとこちらを見ていた。その瞳は思いの外悲しそうだ。なんだか餌以上のものを僕に期待しているかのようだった。でも、残念ながら僕にしてあげられることは何もない。
No
11034
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年05月31日
撮影場所
タニン / ミャンマー
ジャンル
動物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA