クアラルンプールで道端に立ち止まっていると、男がゆっくりと僕の前を通り過ぎていった。男はお父さんで、幼い娘を腕に抱えて歩いていた。抱きかかえられた女の子は安心しきった表情をしている。お父さんに守られて、何も心配することのない場所にいるのだから、当然だろう。
そんな女の子は指をくわえながら、どこか遠くを見つめている。いったい何を見ていたのだろう。何を見ていたとしても、僕が視界に入っていないのは確かだ。安定した世界にカメラを構えた異邦人は必要のない存在だ。女の子もお父さんも、どちらも僕に一瞥くれることなく歩き去っていった。
2009年4月 マレーシア 人びと | |
腕 瞳 お父さん 指 女の子 クアラルンプール 親子 |
No
2651
撮影年月
2008年12月
投稿日
2009年04月03日
更新日
2024年07月01日
撮影場所
クアラルンプール / マレーシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM