再びワット・スタットへとやって来た。意図していた訳でもなく、フラフラと歩いていたらまた出くわしたのだ。寺院の前の大きな広場があって、大きな鳥居のようなものがそびえていた。上空へと真っすぐ伸びた柱の上部に二本の木が渡してあって、形は日本の鳥居に似ているけれど、これは鳥居ではない。サオチンチャーと呼ばれる巨大なブランコなのだ。
かつてはこの巨大なブランコに司祭が乗って大きく前後するという儀式が執り行われていたのだという。ヒンドゥー教の創造神であるブラフマーが同じく破壊の神であるシヴァ神に新たに創造した世界を見に行かせることを意味する儀式だったようだが、これが何を意味しているのかは僕にはよく分からない。作ったばかりの世界をシヴァ神に見せたら、すぐに破壊されてしまうような気がしてしまう。
いずれにしても、これだけ大きなブランコが前後するなんて壮観だったに違いない。残念なことに死亡事故が相次いだため儀式はもう行われておらず、人が乗るブランコも取り付けられていない。今となっては大きなブランコが柱の間で前後しているのを想像するしかなく、空に向かって伸びる構造物だけがその奇妙な儀式の名残なのだ。カメラを構えると、ちょうど広場にいた鳩たちが一斉に飛び立った。まるで僕がカメラを構える瞬間を待ち構えていたかのようだった。
2018年1月 建築 タイ | |
バンコク 鳥 空 ブランコ |
No
10417
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年01月18日
更新日
2024年01月04日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA