西新宿の一帯には、無数の高層ビルが林立している。どの建物も似たり寄ったりで、上を見上げると首が痛くなる。右端に見えるビルは、あのゴッホの「ひまわり」も収蔵している美術館を抱える損保ジャパンの本社ビルだ。近代的なガラスの塔が立ち並ぶこのあたりだが、1970年の住居表示変更までは「角筈(つのはず)」という風情のある地名だったという。どういう由来かと調べてみても、角が生えていたわけでも、筈が折れていたわけでもない。語感だけで少し物語を感じさせる、不思議な名前だ。
無機質な「西新宿」という呼称よりも、「角筈」と言われた方が、なぜだか人間の住んでいる場所のように思える。だが、今ではすっかり人間よりもコンクリートが主役になってしまった。1965年まで、ここには実に広大な浄水場があった。新宿淀橋浄水場である。東京市の水道を支える重要な施設だったが、都市開発の波に飲み込まれて姿を消した。
その跡地が「副都心」として整備され、今では都庁をはじめとする摩天楼が建ち並んでいる。人が水を求めた場所が、今では人を吸い上げる場所になったわけだ。
| 2011年6月 建築 東京 | |
| 西新宿 高層ビル 窓 |
No
5533
撮影年月
2011年4月
投稿日
2011年06月23日
更新日
2025年12月10日
撮影場所
新宿 / 東京
ジャンル
建築写真
カメラ
OLYMPUS PEN E-P2
レンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42MM