ムンバイの大通りを一本外れると、そこはもう別世界だった。高級ホテルや華やかなショップが並ぶ表通りとは打って変わり、脇道は少しずつ雑然としていく。最初は商店がちらほらと並んでいるが、次第に住居ばかりが目につくようになる。そして、道は真っ直ぐではなくなり、いつの間にか迷路のような入り組んだ路地へと変わっていく。
それでも、どこかへ続いているのだろう。進んでいけば、また別の大通りに抜けられるはずだ。そう信じながら路地を歩く。
そんなとき、ひとりの母親とすれ違った。腕には幼い女の子を抱えている。女の子は、小さなピアスを揺らしながら、僕のカメラに気づいた。黒く輝く瞳がこちらを見つめる。そして、ほんの少しだけ笑顔を浮かべた。
路地はどこまでも入り組んでいて、出口がどこにあるのかはわからない。でも、この母子が何気なく暮らしているこの場所も、ムンバイという大都市の一部なのだ。人々の営みが積み重なった路地裏の風景に、僕は足を止め、シャッターを切った。
2025年3月 インド 人びと | |
ムンバイ 親子 ピアス 笑顔 |
No
12843
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年03月19日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF