列車が走り去ってしまうと、プラットホームから乗客は消え去り、束の間の静寂が訪れる。しかし、その静寂はひとときの幻で電車はすぐにプラットホームに入ってくる。新橋駅は忙しない。この駅の一日当たりの乗降客数と乗換客数の合計は軽く70万人を超える。静岡市の人口に匹敵する数の人が毎日この駅で乗り降りしたり乗り換えたりしている慌ただしい駅で、プラットホームが静寂に包まれるのはほんの一瞬だ。
ちょっとした静けさの中に、ふたりの乗客が現れた。ひとりの男性は僕と同じプラットホームに立ち止まり、ひとりの女性は向こう側のプラットホームに立ち止まった。線路を挟んでふたりはほぼ向かい合っている。でも、これは単なる偶然でふたりは知り合いでもなんでもない。視線を交わすこともなく、それぞれが電車が来るのを待っていて、電車がやって来るとそれぞれがそれぞれの家に向かって出発していった。
2019年9月 町角 東京 | |
バック・ショット 人影 プラットホーム 新橋 駅 |
No
11212
撮影年月
2019年3月
投稿日
2019年09月27日
更新日
2023年10月24日
撮影場所
新橋 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III