住宅街の真ん中に、向島百花園はひっそりと存在していた。江戸時代から続いているという花園だ。それほど広い敷地ではないが、その中にはぎっしりと様々な植物が植えられている。どこか懐かしく、それでいて少し不思議な空間だ。この庭園の見どころは、秋の萩だという。園内には「萩のトンネル」と呼ばれる場所まである。
これが、その「萩のトンネル」だ。写真に写っている竹の骨組みがそうだという。だが、訪れたときはあいにく季節外れで、肝心の萩はどこにもなかった。代わりに、骨組みだけがむき出しになり、やや頼りなげに空を支えているようだった。
トンネルは微妙に曲がっている。そのせいで、一瞬どこまでも続いているように見えた。でも実際には、たいして長いものではない。カメラを構えてじっと見つめていると、向こう側の出口に人影が浮かび上がった。思わずシャッターを切きったら、その影はふっと消えてしまった。まるで何もなかったかのように。
2017年6月 町角 東京 | |
庭園 向島 トンネル |
No
10183
撮影年月
2016年11月
投稿日
2017年06月19日
更新日
2024年11月26日
撮影場所
東向島 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA