回廊に囲まれた広場の中央に大きな建造物が建っていた。勤政殿だ。ソウルにある勤政殿は世界遺産にも登録されている景福宮の正殿だった建物で、王権を象徴し、王の即位式などの国家行事を行った建物だ。「勤政」とは「天下の事は勤勉であれば治まる」という意味なのだという。ベトナムのフエにある王宮にも、同名の建物があったようだから、論語か何か中国の古典から採った名称なのだろう。
大きな軒下に立って上を見上げると、扁額が掲げられていた。ハングルではなくて、漢字で書かれていた。今では考えられないけれど、李氏朝鮮時代には漢字こそが唯一の文字であり、民族固有の文字など有り得ないというといった考えが主流だったから仕方がない。時代は流れ、今では漢字を読める人が少なくなっているというから、そのうちこの扁額を読むことのできる自国民もいなくなってしまうのかもしれない。
扁額以外にも屋根そのものを見回してみる。屋根の構造は複雑に組まれていて、その姿は美しい。現在の建物は再建されたもののようだが、1395年からこの場所にある建造物にはやはり風格が備わっていた。
2013年10月 建築 韓国 | |
お堂・ホール 宮殿 ソウル 扁額 世界遺産 |
No
7977
撮影年月
2008年6月
投稿日
2013年10月14日
更新日
2024年01月08日
撮影場所
ソウル / 韓国
ジャンル
建築写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM